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[スタートアップ支援]

スタートアップ投資戦略④:スタートアップにおける種類株式の活用

  • 投稿:2025年02月10日
  • 更新:2025年02月13日
スタートアップ投資戦略④:スタートアップにおける種類株式の活用

スタートアップにとって、スムーズな資金調達や経営の柔軟性を高めるために種類株式を活用することが大切です。本記事では、種類株式を発行する理由、活用方法、メリット・デメリットを解説します。特にベンチャーキャピタル(VC)などから資金調達をする際に発行する種類株式は複雑な設計が求められるため、導入時する際は経験のある専門家へ相談しながら進めましょう。

スタートアップが種類株式を発行する理由

スタートアップ企業が種類株式を発行する理由として特に重要なポイントは、投資家にとってのリスク軽減と、企業側にとっての資金調達の柔軟性の向上が挙げられます。

投資家にとって種類株式を活用することで投資リスクを軽減することができます。例えば、優先配当権や残余財産の優先分配権を付けることで、有利な立場を取ることができます。特にスタートアップへの投資はリスクが高いため、投資家は一定の保護を求める傾向にあります。

一方で、スタートアップ企業にとってのメリットは、種類株式を発行することで株式の価値を高く評価できる点にあります。優先的な権利を付与した種類株式は普通株式よりも価値が高く査定されることが一般的であり、種類株式1株あたりの株価を普通株式の価格よりも高く設定することができます。これにより、同じ資金調達額であっても発行株数を抑えることができます。

種類株式の内容について

会社法では、株式会社が発行できる株式として「種類株式」が認められており、普通株式と異なる権利を付与することができます。スタートアップが種類株式を活用する際には、それぞれの特徴を理解し、目的に応じた設計を行うことが重要です。

優先配当権

優先配当権とは、会社が利益を配当する際に、普通株式よりも優先的に配当を受け取る権利です。ただし、スタートアップでは利益が出るのはIPO(株式上場)直前や、IPO後も赤字であることが多いため、配当がされることは少ないです。

残余財産優先分配権

残余財産優先分配権とは、会社が解散した場合に残った資産を優先的に受け取る権利です。万が一の事態でも一定の資産回収が可能になるため、投資リスクの軽減につながります。
また、M&Aによる会社売却の対価を残余財産とみなして、これを優先的に分配することができます。この定めを「みなし清算条項」と呼びます。

議決権

種類株式には、議決権の有無を設定することができます。例えば、特定の種類株式に議決権を付与しない「無議決権株式」を発行すれば、資金調達をしつつも創業者の経営権を維持しやすくなります。

取得請求権

取得請求権付株式とは、株主が会社に対して株式を買い取るよう請求できる株式のことです。投資家がリスクを軽減するため、一定の条件で資金回収できるような条項を定めることが一般的です。

取得条項

取得条項付株式は、会社側が特定の条件を満たした際に株式を取得できる権利を持つ株式です。IPOをする時点で、種類株式を普通株式に転換するために使います。

拒否権

拒否権付株式とは、特定の決定事項に対して、当該種類株主総会で決議をしないと効力を発しない旨の定めのある株式です。少数派株主や特定の投資家の利益を保護するために使用されます。具体的な内容や行使条件は、契約書や定款によって柔軟に定めることができますが、強力な効力を持つことになるので設計をする際は注意深く検討必要があります。

役員選任権

役員選任権とは、特定の種類株式の株主が取締役や監査役を選任できる権利です。例えば、ベンチャーキャピタル(VC)などの投資家に役員選任権を与えることで、経営に一定の影響力を持たせることが可能になります。スタートアップにとっては、投資家との関係を構築しながら経営の安定を図る手段として活用されます。

種類株式のメリットとデメリット

種類株式はスタートアップ企業にとって資金調達や経営の安定化に役立つ一方で、設計を誤ると将来的な経営の自由度を損なうリスクもあるため注意が必要です。

種類株式のメリット

資金調達の柔軟性が向上する

種類株式を活用することで投資家のニーズに応じた条件を設定し、より魅力的な投資条件を提示できます。たとえば、配当や残余財産分配の優先権を持つ株式を発行することで投資家のリスクを軽減でき、資金調達のハードルを下げることが可能です。

種類株式のデメリット

設計が複雑になり、法務コストがかかる

種類株式は会社法の規定に基づいて設計する必要があり、普通株式と比べてルールが複雑です。そのため、発行の際には弁護士や司法書士と相談しながら慎重に設計する必要があります。また、適切な契約を結ばないと、投資家との間で将来的にトラブルが生じる可能性もあります。

投資家との交渉が難しくなる

種類株式の条件を細かく設定しすぎると、投資家側の理解を得るのが難しくなる場合があります。特にスタートアップの初期フェーズでは、シンプルな資本構成のほうが投資を受けやすい傾向にあります。複雑な条件を付けることで投資家の不安を招き、結果として資金調達が難しくなる可能性もあるため、バランスの取れた設計が求められます。

将来的な経営の自由度が制限される

種類株式の設計によっては、将来の資金調達やM&Aの際に制約となることがあります。例えば、拒否権付きの種類株式を投資家に付与した場合、企業側が重要な意思決定を進める際に投資家の同意が必要となり、スピーディな経営判断が難しくなるケースがあります。

まとめ

スタートアップ企業にとって、種類株式の活用は資金調達や経営権の維持、投資家との関係構築において重要な手段となります。普通株式だけで資金調達を行うと、創業者の持ち株比率が希薄化し、経営のコントロールが難しくなるリスクがありますが、種類株式を活用することで、投資家のニーズに応じた柔軟な条件を設定しながら資金調達を進めることが可能になります。

一方で、種類株式の設計は複雑であり、不適切な条件を設定すると、投資家との交渉が難しくなったり、将来的な経営の自由度が制限されたりするリスクもあります。そのため、種類株式を活用する際には、事業の成長戦略やExitプランを踏まえ、投資家と慎重に協議を行うことが必要です。適切な設計を行うことで、スタートアップ企業は資金調達の選択肢を広げつつ、経営の安定を図ることができます。発行を検討する際には、弁護士や司法書士などの専門家に相談しながら進めることをおすすめします。

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